田中芳樹「黒蜘蛛島」

田中芳樹(たなか・よしき)さんの「黒蜘蛛島(ブラックスパイダー・アイランド)」を読みました。

「東京ナイトメア」、「魔天楼」、「巴里・妖都変」、「クレオパトラの葬送」に続く薬師寺涼子の怪奇事件簿シリーズ第5弾。ドラキュラもよけて通る「ドラよけお涼」こと警察官僚・薬師寺涼子と、従臣(?)泉田クンが世界を舞台に大暴れするSF小説。

田中節とも言えるドクゼツは今作品でも健在。薬師寺警視の派手なドクゼツに目が行きがちですが、実は読者に一番近い存在であろうノンキャリアの泉田クンの独白の方がドクゼツなのでニヤリとします。(^ー^)

ちなみに、私が田中芳樹作品で一番好きなキャラクターは「銀河英雄伝説」のヤン・ウェンリー提督です。まさに心の師。

by ittan at 2003年12月08日 23:53 | Books | Comments [5] + TrackBacks [0]

Comments

銀河英雄伝説の頃から読んでますが、小説部分の面白さを、「作者の意見」がぶちこわしにしていると思いました。「若作りの老人の都知事」「右翼」「不法入国の外国人を犯罪者と決めつけ」「無能」等々。銀河英雄伝説やアルスラーンの頃は、「中立、公正ありたい」という作者の立場が伝わってきたものだが、創竜伝や本作は「フィクション」だということを錦の御旗に、実在の人間を誹謗したりするのは露骨に「卑怯」なやり方だと思った。また、作中人物に、人気漫画や人気ライトノベルの影が見え隠れするのも気になり、作品自体は面白いのに、作品の中に入っていけない。
 「自分と違う意見を一方的に悪と決めつけること」を、ヤンも始ナルサスも
嫌っていたはずだが、著者は実行できているとはいいがたい。
 
 何より、作中で有名推理小説の犯人をばらしてしまうとは何事か。
 あとがきで「犯人が分かっても物語の面白さを損なわないと信じている」
と釈明していたが、これこそ「主観の押しつけ」に他ならなくはないか。せめてあとがきではなく、前書きなどに入れるべきだろう。

by 哀しい at 2004年01月11日 23:11

コメントありがとうございます。
哀しいさんのコメントについては読んだ人の判断に任せることにします。
私は、大変参考になる意見だと思いました。

今年中にはアルスラーン戦記の続きが発表されるそうなので、
「時間」が何かを変えてしまうのか注目していきたいところです。

by ittan at 2004年01月14日 00:22

記事を読んで興味を持ちました。

by guest at 2004年01月15日 14:40

私も買いました/行きました。

by guest at 2004年01月15日 14:40

田中氏の作品は、アルスラーン→創龍伝→薬師寺→来夢・・・と読んできました。
私は「小説はこうあるべきだ」「個人的意見が入っている」等という見方についてはよくわからないので説得力のある意見は書けませんが、私個人の意見として、『黒蜘蛛島』は作品の世界を想像して展開を楽しむには面白い作品だと思います。
いっている内容はともかく、信念を持って行動する登場人物たちが面白く、頼もしく、またとてもうらやましく、今から次回作が楽しみです。

by maryu at 2004年03月11日 03:59

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